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組織過程
C.I.バーナード(1886-1961)の生家は裕福ではなく,5歳の時,母を亡くし,その後,父が再婚し,少年時代,母方の祖父の家で過ごしました.
祖父の家でピアノを学び,中卒でピアノ工場に勤務し,調律技術を修得後,働きながら名門私立高校を卒業しました.苦学し奨学金を得てハーバード大に進学後も,学費が続かず,卒業を断念しています.
1909年,AT&T入社,1922年,同社の地域通信会社であるペンシルベニア・ベル副社長となり,1927-48年,ニュージャージー・ベルCEOを21年勤め,AT&T勤続39年のビジネスマンでした.
彼の関心は,どうすれば組織を維持できるかでした.
語ですが,組織の成員は単に経済的な存在ではなく,全人格的に考えてい
また組織の成員について「全人仮説」を想定しています.これも聞き慣れない用語ですが,成員は単に経済的な存在ではなく,全人格的に考える必要があることです.
ミクロ経済学の考える経済的な存在としての人間であれば,貨幣に換算される利得を最大化するよう利己的に動機づけられるに過ぎません.しかし「全人的」であれば,そのような合理的な側面だけでなく,感情的な充足も考えなければならないということになります.
そのような人間は,金銭だけでなく,プライドや理念,道徳や信仰に強く動機づけられています.
バーナードにとって「組織」とは「意識的で,計画的で,目的をもつ人々の「協働」(coöperation)」です.
「協働」は日常的に使用されることのない用語ですが "coöperation"の訳語で「協力」です.
一人の人間にできることには限界があり,複数の人間が一人ではできないことを協力によって共通目的を達成しようとすることが組織への要請であり定義となります.
こうして「組織」は「二人以上の人びとの意識的に調整された活動や諸力のシステム」と定義されます.「システム」とは,相互関係にある諸要素の全体です.
組織の3要素は,それらが無ければ組織が成立しない条件です.履修者のみんさんが組織を運営するなら以下の3つを確保すべきです.
(1)共通目的,(2)貢献意欲,(3)コミュニケーション,これらがバーナードが組織の3要素です.
共通目的がなければ,組織で働く動機づけが成立しません.組織の目的を自分の目的と認識するから,貢献意欲が導かれます.さらに組織は,複数の人間の協力のシステムですから,協力のためコミュニケーションが不可欠です.
旧約聖書の天にとどく「バベルの塔」を建設する人間の組織を分断させるため,神は人々の言葉を理解する力を失わせ,塔の建設を中断させたように,コミュニケーションが無ければ,組織を維持できません.
組織を評価する独特の基準としてバーナードは「有効性」と「能率」のバランスを指摘しています.
「有効性」は「組織目的の達成度」であり,「能率」は「組織成員の満足度」です.
これらが同時に満たされバランスがとれていることが,組織が維持される条件と考えられます.
ここには,組織を交換関係から捉えようとする視点が見られます.
組織の3要素の一つ「貢献意欲」は,すすんで組織の目標達成に努力しようとする意欲です.
しかしなぜ成員は組織の目的を自分の目的とし,その達成に貢献するのでしょうか? そのためには一定の報酬(=誘因)が必要であり,その報酬の得られることが組織の「能率」すなわち成員の満足です.
ここに組織の与える報酬と成員の組織への貢献の交換関係が成立します.重要なのは両者のバランスです.
もし組織成員の組織への貢献が大きいにも拘わらず,「報酬」(誘因)が小さければ,成員は満足できず,組織を去るかも知れません.
逆に,貢献以上の報酬を組織が成員に支払い続けても,組織は立ち行かなくなります.
バーナードは,組織目的の達成度(「有効性」)と成員の満足度(「能率」)が同時に充足され,バランスの取れていることが,組織を維持する条件と考えました.
組織過程は,組織の3要素である「共通目的」,「貢献意欲」,「コミュニケーション」を確保する具体的方法を意味します.
以下にそれぞれについて確認してみましょう.
この過程で意思決定プロセスが導入されます.このプロセスは,次回のH.A.サイモンの組織論で扱います.
目的を達成するためには,その手段との適合性を考える必要があります.組織では,一つの目的が下位の複数の目的に分割され,下位の目的は上位の目的に対する手段となり,仕事は分業化され,組織は専門化された複数の担当部門が設置されます.
例えば,自動車製造のために,デザインを決め,部品を調達し,組み立てる必要があります.デザインを決めることは,自動車を製造する下位の目的となり,手段です.そのためにデザイン担当部門が設置されます.
さらにデザインを決めるためには,どのようなデザインが市場で好まれるかマーケティングが必要です.このことを組織の「目的と手段の連鎖」と呼びます.
戦略的要因とは,目的達成を妨げる問題要因です.その要因を制御できれば,目的が達成されます.
すなわち戦略的要因を明確にすることが組織目的を達成するために必要で重要なことになります.
例えば,電気自動車を製造・販売のためには,一度の充電での走行距離がネックであり問題ですから,性能の良い電池の技術が重要であり,戦略的要因となります.
例えば,「これはお金の問題ではありません,私たちの誇りや自尊心,さらに,それが正しいことだからです」などの言説が想定されます.
みなさんは法をまもるのは,利得があるからですか,それとも正しいことだからですか?
さらにバーナードは,誘因の最も重要な一つが「理想の恩恵」としています.それは「非物質的,将来的または利他主義的関係の個人の理想を満足させる組織の能力」です.
履修者のみなさんも,お金が儲かりさえすればいいのではなく,加えて人の役に立つ仕事をしたいとも考えるのではないでしょうか.
貢献意欲を確保・維持のためには,それに見合う報酬を支払う必要があります.
それには「誘因の方法」と「説得の方法」があります. 「誘因の方法」は,物財や金銭などの財やサービスなどによって貢献への対価を支払うこと,そしてこれらの誘因に限界のあるとき「説得の方法」が採用されます.
物財や金銭を与えることで納得しない場合,金銭は重要な動機づけになりますが,金銭で人を動かすことができ無い場合,貢献することが,どれだけ有意味なことかを説明し,貢献に誘導することです.
この論点について,バーナードは
「権限受容説」を主張しています.
上司の命令でも,それを受けた部下が,命令として受け入れて初めて,命令権限が成立するという考え方です.すなわち上司の命令権限が成立するかどうかは,部下が受け入れるかどうに依存するというものです.そのような命令は拒否することができるのです.
部下が命令権限を受容するかどうかは,上司と部下のコミュニケーションに依存し,命令の内容が理解できるようにし,組織目的や個人の利害と矛盾せず,また実行可能であることを説明する必要があります.
私たちはすでに,それぞれの状況に応じて有効なリーダーシップは異なるというリーダーシップの状況適応理論を知っています.
バーナードは,リーダーシップを行使する経営者の道徳性の高さに言及しています.重要なポイントは個人や組織内には複数の道徳的準則を含み,その準則間で対立が予測されることです.
そのような際,経営者のリーダーシップは準則間の対立を克服する新たな準則を創造するです.